この連載では、週末の試合から気になったセットプレーをいくつか取り上げます。
さらに1試合をフルマッチで見ながら、セットプレーを中心に試合を振り返ります。

週末の試合から、気になったセットプレーをピックアップします。
①「vsゾーン中心の併用守備」の攻略(川崎)
・ゴール動画
・セットプレーを分析
守備

11人全員が守備に戻っています。
ゴールエリア内を6人がゾーンで守っています。
残りは、PKスポット付近で2人がマンマーク、ボール付近のケアを1人、ファーサイドでマンマークを1人が行っています。
攻撃

攻撃側はPA内に6人のみを入れる配置を選択しています。(1人は後方に走っているためノーカウントとしました。)
相手がゾーン守備中心のため、人数としては少ないものの、4対2の数的有利の状況を作れています。
2人で1人を押し込み、さらに1人がマークを引き連れてニアへ動くことで、守備をゴールエリア内に集中させています。
その結果、ゴールエリア外の後方に1人が完全にフリーとなりました。ボールが蹴られた時点でDFは8人がゴールエリア内にいて、後方の選手への対応が遅れます。最終的には、そのドフリーの選手がヘディングで合わせてゴールを奪っています。
まとめ
守備側はゴールエリア内を人数で固める守備をしている分、PKスポット付近が手薄になります。
攻撃側はその構造を前提に、確実にフリーが生まれるよう動き出しを行い、ゴールエリア外でドフリーの選手を生み出しています。ゴールエリア内での対応に守備の意識が集中した結果、後方への対応は後手になりました。
キックの質も高く、ファーサイドへ流すヘディングシュートも含め、狙いと実行が一致した完成度の高いコーナーキックでした。一方で、ゴールエリア内で合わせられれば失点に直結するとはいえ、オフェンス側がこれだけ自由に動ける状況を許している点は、守備として高いリスクを抱えているとも言えます。
②全員でスペースを作る(岡山)
・ゴール動画
・セットプレーを分析
守備

11人全員が戻っての守備をしています。
ゾーン中心の併用守備をしています。
(マンマーク中心と迷いましたが、PA内にいるオフェンス選手のマークを放棄しているので、ゴールエリア内の3人は固定されてるという判断でゾーン中心と判断しました。)
攻撃

攻撃側はファーポスト付近に選手を集め、5対5の密集状態を作っています。
そこから全員がゴールエリア内で横移動し、一斉にニア方向へ走り出しました。この動きによって、直前まで計10人が集まっていたファーサイドは一気に無人となります。守備は集団での移動に引きずられ、ファーサイドは完全に手薄の状態となりました。結果として、後方からそのスペースに走り込んだ選手がヘディングで合わせてゴールを奪っています。
人数を動かして守備を空間ごと動かし、最後は外側のスペースを使ったセットプレーでした。
まとめ、補足
このセットプレーでは、攻撃選手がファーサイドからニアサイドへ移動する際に、守備選手との接触が見られました。判定はノーファールでしたが、腕が伸びた状態で首付近に接触しており、状況次第ではファールを取られても不思議ではありません。いわゆるスクリーンの動きは、フリーを生み出すための強力な手段ですが、接触の強さや位置によってはリスクも伴います。再現性を高めるためには、使いどころと加減に注意が必要です。
また、この場面で実は最も効果的だったのは、ボール付近に立っていた攻撃選手でした。あの位置に選手が存在していたことで、ゴール前を守るディフェンスを1人減らすことができています。もしその選手がいなければ、守備はゴール前にもう1人配置でき、最終的に得点を決めた選手がフリーで走り込む状況は生まれていなかった可能性があります。直接ボールに関与しない配置が、結果として決定的なスペースを生み出したセットプレーでした。

ランダムに選んだ1試合をセットプレーに注目してフルマッチで視聴します。
試合全体の流れの中で、
- 攻撃時にどんなセットプレーを狙っているのか
- 守備ではどこを優先して守っているのか
結果だけでは見えにくい、チームごとの考え方を整理していきます。
今週の選ばれた試合は……
東京ヴェルディvs水戸ホーリーホックの試合をセットプレーに注目してみていきます。
東京ヴェルディ vs 水戸ホーリーホック
試合結果

プレーバック
4:15 水戸のCK
東京V(守備)…マンマーク中心の併用守備。
水戸(攻撃)…6人がPA内に入っての攻撃。2人がゴールエリア内、4人が後方からスタート。
17:30 水戸のCK
最初の配置は1本目と同じ。
東京V側はゾーンも理想通りに配置ができていそう。
水戸のキックは1本目とほぼ同じ位置を狙っている。
45::00+1 水戸のCK
3本目の水戸CKもほぼ同じポイントを狙ってのキック。
今回はGKではなくDFにクリアをされた。
56:27 東京VのCK
水戸(守備)…ゾーン中心の併用の守備。走り込む選手にはマンマークで、ゴールエリア内とPA内で孤立している選手はフリーにしている。
東京V(攻撃)…PA内には6人で、そのうち4人が後方から走り込む。狙いどころはファーサイド。
60:11 東京VのCK
1本目のと同じ形からスタート。ゴールエリア内を狙ってのクロス。
76:10 水戸のCK
同じ配置でのセットプレー。後方から走り込む4人のうち1人は動き出しを遅めにいして、狙いはファーサイド。2人対2人を作っていての勝負を狙っている。


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